年齢に伴って徐々に足腰は弱っていくと言われています。しかし、足腰が弱ると言っても杖をつかないと歩けない人もいれば何も使わずにピンピンと歩いている方もいるなどその能力の差は非常に幅広くなっています。今回は、少しでも長い間杖を使わないで歩くことができるように足腰を強くするための方法を解説します。
目次
1.足はいつから衰え始めてくる?
そもそもいつから足は衰えてくるかご存知でしょうか。人間の筋肉は一般的に30代をピークとして、それ以降は徐々に衰えていくという報告もあります。
そして筋肉が衰えるスピードは60代以降から急激に加速します。
この実際の体の衰えとご自身の体の動くイメージにズレが生じてしまうと「運動会で転んでしまうお父さん」のような状態になってしまいます。また、「1日1万歩歩く」と長く歩くことで筋力が保たれると一般的には言われておりますが、これでは強い足腰を作ることはできません。これは歩くといった有酸素運動では筋肉が肥大しないことが関係しているためです。足腰の衰えを防ぐためには筋力のトレーニングが必須となります。
2.特に力が落ちやすい部分とその理由
年齢によって足腰が弱っていく部分にも特徴があります。
その特徴として、瞬発力や大きな力を発揮しやすい筋繊維から衰えが始まるということです。
人間の下半身に筋肉が特に衰えやすいのは足には非常に体積が大きく大きな力を発揮する筋肉が多いことが関係しています。人間の筋肉大きくは、速筋と遅筋に分けることができます。それぞれによって筋肉の特徴が異なります。
この2つの繊維は正反対の作用を持っています。遅筋は持久力がある筋肉であり、姿勢を保つ際やマラソンなどの有酸素運動を行なっている際に働きやすいと言われています。逆に速筋は持久力には劣りますが瞬発的に大きな力を発揮することができます。
加齢による筋力低下の場合は速筋から衰えが始まり、筋繊維が徐々に遅筋へと移り変わっていきます。遅筋の割合が多くなることで瞬発的な力を発揮することが難しくなるため、早く歩くことや躓いても咄嗟に足がでにくくなるようになります。
3.足の衰えを確認する検査3選
続いて、今の足の衰えを確認する検査を紹介します。自宅でも気軽に取り組むことができるためぜひお試しください。
①10m歩行テスト
10mを歩く際のスピードによってその方の持っているバランス能力や足の力などを簡単に検査することができます。
準備物
10mの距離
ストップウォッチ
方法
10mの距離を普段歩いている自然な速さで歩きます。その間の時間をストップウォッチで計測します。
10mを10秒以内で歩くことができる場合は屋外を歩いていても転倒する危険性が低いと言われています。逆に10秒を超えれば超えるほど屋外を移動する際には注意が必要となってきます。
また、この10mを10秒以内という目安は信号機が変わる前に横断歩道を渡れる速度になります。普段通勤や散歩などで横断歩道を渡る際には意識してみましょう。
②片足立ちテスト
続いて片足立ちテストです。この検査も体のバランス能力を見ることができます。
準備物
ストップウォッチなど
方法
片足立ちの状態を可能な限り長く続けてキープします。
転んでしまう可能性を減らすために、近くに何か掴まれるものがある状態で行いましょう。
左右の足で実施しましょう。
秒数によっての目安があり、片足立ちで30秒以上姿勢を保つことができる方はバランス能力が保たれており屋外の移動も転倒する危険性は低いと判断されます。
また、左右の足での差は大きく出やすい種目になります。右足が正常で左足の力が入りにくい場合では、左足で踏ん張る際にバランスを崩してしまう可能性があります。左右差なく30秒以上片足立ちをキープできるように頑張っていきましょう。
③ 握力
握力を確認することも全身の筋力の検査になります。最大の握力を出す際には手のひらだけでなく、体全身を力ませています。そうすることで腹筋や背筋に力が入ります。
腹筋や背筋は足の筋肉にも繋がっているものが多いため結果的に足・体幹・腕といった全身の力が入って初めて握力の最大値を出すことができるためです。
準備物
握力計
方法
立った状態で行います。
握力計を握る際は腕を自然に下げたまま握力計が身体や衣服に触れないように注意します。
この握力の目安ですが、男性は28kg,
女性は18kgを下回ると筋力が低下していると判断されます。
④30秒椅子立ち上がりテスト
30秒間椅子から連続で立ち上がりと座りを行うことで足全体の筋力を確認することができます。
膝や股関節など関節に痛みが出る際は無理せずに実施しましょう。
準備物
40cmの高さの椅子
ストップウォッチ
方法
椅子に浅く腰掛けて30秒間立ち座りを行います。
立ち上がった際に膝や腰をしっかりと起きるようにしましょう。
後ろにバランスを崩してしまう可能性があるので、実施する際には転倒に注意しましょう。
年代ごとに参考になる数字があり、
50代 | 男性 22~27回以上 | 女性 20~24回以上 |
---|---|---|
60代前半 | 男性 20~25回以上 | 女性 19~23回以上 |
60代後半 | 男性 18~21回以上 | 女性 17~21回以上 |
これらを幅で収まっていると筋力が年相応といえます。年代ごとの平均よりも低い場合はまず平均値を目指していくことが必要になります。
4.足を鍛えるエクササイズ3選
続いて足腰を鍛えるエクササイズをいくつか紹介します。90歳のフィットネスインストラクターがいるように何歳になってもトレーニングを行うことで筋肉をつけることが可能です。
現在は筋肉貯金という言葉があるようにより早い年代でトレーニングを開始することで先々の体力や筋力を蓄えることができます。今日が一番若い日になるので可能な範囲から取り入れていきましょう。
踵あげ運動
ふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングです。ふくらはぎの筋肉が鍛えられることで足を大きく前に蹴り出すことや立っている際のバランス力が向上するなどの効果を見込むことができます。
方法
- 1.両方の踵と踵をくっつけます
- 2.つま先は握り拳が1つ入る程度のスペースを作りましょう
- 3.内腿を締めながら踵を最大限持ち上げます
- 4.踵を持ち上げたらスタートの位置まで戻ります
注意点
バランスを崩す可能性があるので何かを支えにしながら実施しましょう。台所で料理をしながらや歯磨きをしながらなど日常生活の中に組み込むことで気軽にトレーニングをすることができます。
足上げ運動
太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることができます。立ち座りの際などに重要になる筋力です。また、足を上げる際に同時に体幹部分を鍛えることができます。
方法
- 1.仰向けに寝ます
- 2.膝をまっすぐ伸ばしたまま右足を天井に向かって持ち上げていきます
- 3.足を上げる際は素早く上げて、ゆっくりと床に戻していきましょう
注意点
足を上げる際に体幹がブレないように腹筋にも力を入れましょう。足を上げる際に腰や股関節の付け根に痛みが出る際は中止しましょう
お尻上げ運動
お尻の筋肉(大殿筋)などを鍛えることができます。デスクワークなど座る機会が多いとお尻の筋肉に力が入りにくくなります。お尻の筋肉を鍛えることで骨盤が安定します。骨盤の安定性は同時に体幹部分の安定性にも繋がっていくため、強い下半身を作ることができます。
方法
- 1.両膝を深く曲げて仰向けに寝ます
- 2.顎をしっかりと引いたままお尻を上に持ち上げます
- 3.太ももと体幹部分が一直線になるようにしましょう
注意点
お尻を持ち上げる際は背中に力が入らないように注意しましょう。背中が張る感じがある際は、お尻のトレーニングをする前に背中のマッサージやストレッチをしてから実施しましょう。
5.効果が出るまでの期間・頻度や取り組み方の例
トレーニングの効果が出るまでには一定の時間がかかります。一般的に筋肉に肥大が起きるまで3ヶ月の期間がかかると言われています。実際に筋肥大が起きるのは3ヶ月後ですが、その間でも筋肉には変化が起き筋力などに向上が認められるため効果を楽しみながら実践しましょう。
足腰を鍛えるための頻度については今回紹介したような自分の体重を用いて行うトレーニングの場合は基本的に毎日行っても問題はありません。
しかし、翌日に疲労感が残ってしまう、食事が十分に取れていないなどの場合は2日や3日に1回と頻度を抑えながらコツコツと実践してみてください。
6.まとめ
今回、足腰が衰える原因とそれに対する対応方法をお伝えしてきました。現在筋肉貯金という言葉が聞かれるように早め早めに筋肉量をつけておくことでいつまでも強い足腰を保ちやすくなります。現状の自身の力を把握してからコツコツとトレーニングに取り組んでみてください!
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