立ったり座ったり歩いたり、日々の動作で膝にかかる負担は想像以上に大きいものです。
膝に痛みを感じてもすぐに治ると、いつものことだとつい見過ごしてしまうかもしれません。
ですが、膝の痛みは膝からの救いを求める信号です。痛みを放置せず、すぐに正しい処置を行いましょう。本記事では、膝の痛みの原因と対処法についてご紹介します。
1.膝の痛みの主な7つの原因
体重増加や加齢など、膝の痛みの原因はさまざまです。膝の痛みの原因を知ることは、痛みに正しく対処する助けになるでしょう。
ここでは、膝の痛みの主要な原因を取り上げます。
1-1.筋力や関節の柔軟性の低下
体には約260個以上もの関節があり、それらは筋肉で動かされています。
しかし、加齢や運動不足で筋力が低下すると、骨と骨の間でクッションの役割を担っている軟骨が摩耗して膝の痛みを生じさせます。
さらに、加齢に伴い膝関節の新陳代謝が鈍化して柔軟性が低下すると、膝が痛むようになります。
1-2.変形性膝関節症
膝の痛みの原因に、変形性膝関節症が挙げられます。骨と骨の接触面は関節軟骨で覆われていますが、軟化や亀裂によってこの軟骨がすり減ると変形性膝関節症になります。
変形性膝関節症は40歳以上の5人に1人がかかるとされ、女性のほうが男性よりも発症しやすい疾患です。
1-3.姿勢が悪い
近年、デスクワークやスマートフォンをいじるなどして、長い時間同じ姿勢をとる人が増えました。
普段から姿勢が悪いと、膝に大きな負担が掛かり痛みが生じるようになります。とくに前かがみの姿勢、いわゆる猫背の場合には腰の動きが固くなり、骨盤や膝関節の動きにも影響して膝に痛みを感じるようになります。
1-4.関節リウマチ
関節リウマチとは、免疫の異常から関節が炎症を起こして腫れや痛みが起こる病気です。
進行すると軟骨や骨が壊れて関節が動かせなくなり、関節が変形する恐れがあります。
膝の関節が関節リウマチにかかると、炎症から関節の中にある関節液が大量にたまって関節水腫になり、膝周りが腫れて痛むようになります。
1-5.合わない靴を履いている
サイズがぴったり合っていない靴を履くと、体のバランスが崩れて正しい歩き方ができません。
合わない靴を履き続けると、膝に大きな負担がかかるため、痛みが生じるようになります。また、靴底が硬い靴を履いていると、着地の際の衝撃が響いて膝を痛めることがあります。
1-6.痛風
痛風の原因は尿酸ですが、血液中の尿酸値が上昇して体内に蓄積すると、尿酸塩と呼ばれる結晶が関節に溜まり痛みを引き起こします。
通常、尿酸は排尿時に体外へ排出されますが、暴飲暴食や肥満、激しい運動などの影響で尿酸過多になるといわれています。
発作的な痛みは足の付け根に起こるほか、足の甲や手の関節、肩の関節や膝の関節にも痛みが出るようです。
1-7.スポーツをしている
スポーツをしていると膝を痛めることが多いようです。
原因として、体力や技術に合わない練習やオーバートレーニング、練習場のコンディションや合わない靴などの理由が挙げられます。
そのほかにも、スポーツをしている人の体の柔軟性や筋力不足などが原因で、膝に痛みが起こります。
2.膝の痛みを放置すると?
膝の痛みを治療せずに放置すると、さらに悪化して深刻な健康問題に直面する恐れがあります。
2-1.生活習慣病になる可能性も
膝に痛みを抱えたままでいると、体を動かすことが面倒になってしまい、運動不足に陥りやすいようです。
運動不足は生活習慣病を引き起こす原因のひとつですが、とくに動脈硬化がもとになる病気である心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの発症リスクが高まります。
2-2.歩行困難および寝たきりになる危険も
加齢に膝の痛みは付き物だとあきらめてしまう人もいるようですが、痛みを放置すると痛みは治まるどころか益々ひどくなるばかりです。
強烈な膝の痛みゆえに歩くのが難しくなることがあるほか、さらに悪化すると寝たきりになる可能性もあるでしょう。
3.膝の痛みを改善する方法
膝の痛みを改善する方法は原因によって異なりますが、どんな原因にしろ早く対処することが大切です。膝の痛みを改善するのに、どのような対処方法があるのかをご紹介します。
3-1.定期的にストレッチを行う
膝に痛みがあると、できるだけ動かさないほうが良いと考えるかもしれません。
しかし、動かさないと関節は萎縮してしまい、膝の状態をさらに悪化させてしまいます。
膝周りの筋肉を柔軟に保って痛みを軽減するためにも、定期的にストレッチを行いましょう。膝を支える筋肉を中心に鍛えるストレッチをすることで、筋力をつけて膝関節にある軟骨の摩耗を防げます。
3-2.ウォーキングをする
膝の筋力が衰えると膝に痛みが生じるようになりますから、無理のない範囲でウォーキングをして筋力を維持しましょう。
ただし、正しい歩き方でウォーキングをしないと膝の痛みを悪化させる場合があります。そのため、ウォーキングをするときには正しいフォームを意識して行う必要があります。
3-3.体重をコントロールする
立っているだけで体重の1.1倍、階段を降りるときには3、4倍もの負担が膝にかかるといわれています。この膝への負担は、体重が増えれば増えるほど大きくなります。
膝の痛みを改善するためにも適度な運動を毎日の生活に取り入れ、運動不足を解消して体重をコントロールしましょう。
3-4.血行を良くする
血行が悪くなると、炎症や破損が起きた体内組織の酸素が不足したり、新陳代謝が鈍化したりすることで発痛物質が放出されます。
膝に痛みがあるときも、血行不良によって発痛物質が誘発され、痛みがひどくなる場合があるようです。膝の痛みを軽減しようと思うなら、普段から冷え症対策をして血行を促進するよう心掛けましょう。
3-5.薬物療法を行う
変形性膝関節症の初期段階には、薬物療法が行われることが多いようです。膝の痛みを和らげる薬には、内服薬や外用薬、座薬や注射薬があります。
これらの薬物は痛みや炎症を抑える働きがありますが、病気そのものを治すことはできません。
痛みがマシになったからと途中で薬物療法を止めてしまうとぶり返す可能性があるため、医師の判断を仰ぐ必要があります。
3-6. 低周波治療を試す
変形性膝関節症のために膝に痛みがある場合、治療の一環として低周波治療が行われています。
低周波治療器器を使って神経を刺激することで、痛覚を司る細い神経の信号が脳に伝わりにくくし、膝に感じる痛みを軽減します。
さらに、低周波治療には血行促進効果もありますから、発痛物質や体内に溜まった老廃物を血流で流して、痛みを緩和することが可能です。
3-7.靴にインソールを入れる
合わない靴を履くことは、足だけではなく、膝や腰などほかの体の部位を痛めることに繋がります。それぞれ足の形が違うため、既製品の中から自分に合った靴を選ぶのは難しいでしょう。
しかし、インソールを活用することで、自分の足に靴を合わせることができます。
インソールを入れた靴を履けば、地面から伝わる衝撃を和らげて膝への負担を軽減するのに役立ちますし、体全体のバランスを整えて、膝を痛めない正しい歩き方ができるようになります。
4.まとめ
膝の痛みを改善するには、まず痛みの原因を突き止めなければなりません。
安静にしていれば痛みが治まるケースもあるかもしれませんが、根本的な解決策にはならないことを覚えておきましょう。
むしろ、動かさないでいると、膝の痛みは悪化の一途を辿ることになります。
つらい痛みから解放されるためにも、できるだけ早く正しい処置を行うようにしたいですね。
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