偏平足は、足のトラブルの中でもよく見られる一般的な症状です。変形が目立たない時期や痛みがない時期は気にならない人も少なくないようですが、偏平足は放置しても良い病気なのでしょうか?本記事では、偏平足の原因や自分で行えるチェック方法に加えて、改善・治療の方法をご紹介します。
1. 日本人に多い偏平足について
日本人の約7割が偏平足だと考えられていますが、どのように発症するのでしょうか?ここでは、偏平足になる原因とチェックの方法をご紹介します。
1-1.偏平足とは
足の裏には3つのアーチが存在しますが、中でも土踏まずと呼ばれる内側縦アーチが崩れて、足の裏が平らになった状態を偏平足といいます。個人差はあるものの、乳幼児から約6~8歳までは誰もが偏平足です。成長するにつれて土踏まずができて偏平足ではなくなりますが、大人になってから発症する偏平足は内側のくるぶしの下が痛みやすく、成人期偏平足と呼ばれています。
1-2.どうして偏平足になるの?
一般的に、6歳頃から足裏のアーチを作る骨が形作られます。足の指の屈伸運動によって足根部の骨が上向きに動き土踏まずが形成されていきますが、歩かない、足の指を使わない生活習慣のせいで足趾を曲げる筋力が低下すると偏平足になります。成人してから偏平足になる主な原因は、加齢や運動不足による筋力不足です。そのほかにも、長時間立ちっぱなしの状態や激しい運動、体重増加などが原因で偏平足になる場合もあります。
1-3.偏平足のチェック方法
足の裏を見て土踏まずがない状態、もしくは真後ろから足を見て足の指が何本か見えている状態なら偏平足かもしれません。また、イスに座って土踏まずの下にボールペンを差し入れてみて、入らないのであれば偏平足です。さらに、歩くと疲れやすい、バランスが取りにくい、片足立ちができないのであれば偏平足の可能性があります。
偏平足は足の変形なので大抵の場合は目視可能ですが、足裏の筋肉が発達していたり脂肪が多かったりすると、見た目だけでは判断できないこともあります。そのようなケースでは、診断のために医療機関でレントゲン撮影やMRI検査をしてもらう必要があるかもしれません。
2. 偏平足を放置してはいけない理由
痛みを伴わないと治療の必要性を感じないかもしれませんが、偏平足を放置すると悪化する恐れがあります。
2-1.外反母趾になる
外反母趾とは親指が小指側に曲がり、付け根が飛び出して変形する疾患です。外反母趾になると歩くときに痛みを感じたり、親指がしびれたりします。合わない靴を履くことが主な原因ですが、偏平足だと外反母趾になりやすいといわれています。
2-2.足底筋膜炎を引き起こす
足裏のアーチが潰れて偏平足になると、かかとの骨から足の指の付け根を繋いでいる足底腱膜に強い牽引力がかかります。この状態で歩いたり、ランニングをしたりすると足底腱膜に炎症が起こって足底筋膜炎になります。足底腱膜炎になると足に痛みが生じますが、悪化するとかかとの骨に突起ができて、さらに痛みがひどくなるため注意が必要です。
2-3.有痛性外脛骨になる
偏平足は、有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)を引き起こす恐れがあります。外脛骨は約15~20%の人に存在するといわれる、舟状骨の内側にある過剰骨のことです。有痛性外脛骨になると足の内側が痛む、内側にあるくるぶしの下が腫れるなどの症状が現れます。運動をしている人に多い病気ですが、偏平足だと外脛骨に負担が掛かるため有痛性外脛骨を発症しやすくなるようです。
2-4.アキレス腱周囲炎を発症する
アキレス腱の周りの組織が炎症を起こすとアキレス腱周囲炎を発症します。運動しているときにかかとの上周辺が痛むなら、アキレス腱周囲炎の疑いがあるでしょう。足の使い過ぎでアキレス腱に負荷がかかり続けるとアキレス腱周囲炎になると考えられていますが、偏平足の場合にはとくに発症リスクが高いようです。
2-5.膝や腰の痛みに繋がる
偏平足は地面からの衝撃を吸収・緩和することが難しいため、足全体に大きな負荷がかかります。足に負担がかかり過ぎると体全体のバランスが崩れて、膝や腰にも負担がかかるようになってしまい痛みが生じます。
3. 偏平足を改善・治療する方法
偏平足だからといって、すぐに歩行困難になる訳ではありません。しかし、放置すると悪化して慢性的な痛みに悩まされる可能性があるため、治療を試みるようにしましょう。
3-1.インソールを活用する
偏平足で足の裏に痛みがある、足の内側やふくらはぎが疲れるのであれば、インソールを靴に入れてみましょう。偏平足は土踏まずの機能が低下した状態なので、足が地面に着地する際の衝撃を吸収できません。しかし、土踏まずの代わりに衝撃を吸収・分散する機能を備えたインソールを活用すれば、足の疲れや痛みを改善できます。
3-2.定期的なエクササイズとマッサージ
エクササイズとマッサージを定期的に行えば、偏平足を改善するのに役立ちます。座った状態でゴルフボールを足の裏でコロコロ転がすだけのエクササイズは、最初は2分ほど行い、慣れてきたら徐々に時間を長くします。
足の指に筋力をつけるタオルギャザーエクササイズも、偏平足改善に有効です。タオルギャザーエクササイズは、座った状態で足の下にタオルを敷き、足の指を使ってタオルをギュッと掴んで手繰り寄せます。その際に、かかとが床に固定するよう気をつけましょう。最初は2、3回からはじめますが、慣れてきたと思ったら回数を増やします。
偏平足を改善したいなら、足の指をマッサージで柔軟にしておくことも大切です。方法としては、足の指の付け根部分を手の親指と人差し指で挟んでから、ゆっくりお辞儀をさせるかのように下向きに曲げます。同じ要領ですべての足の指をマッサージしていきます。
3-3.体重をコントロールする
急激な体重増加は、成人期偏平足の主な原因です。体重は足で支えられていますが、体重が増えて負荷が大きくなると、足裏のアーチを吊り上げている後脛骨筋が断裂します。すると、足裏のアーチが支えきれなくなり偏平足になります。もしも足が痛むなどの症状が出ているなら、ダイエットで適性体重に戻す努力をしましょう。
3-4.姿勢を矯正する
姿勢の悪さが足に負担をかけて、偏平足を悪化させる場合があります。とくに、骨盤が前に出ている猫背姿勢は重心が足のつま先にかかるため、足の内側のアーチが低下しやすくなるので矯正する必要があるでしょう。
3-5.サポーターを使用する
偏平足だと歩行時の衝撃を受けやすくなるだけではなく、全身のバランス維持やスムーズな重心移動が難しくなります。そのため足の痛みや疲れが生じますが、足に装着するタイプのサポーターを使用すれば、土踏まずの機能を助けて不快な症状の軽減に役立つでしょう。
3-6.足の筋力を強化する
加齢や運動不足に伴う足の筋力の低下は、偏平足の原因のひとつです。ですから、偏平足を改善するためには、足の筋力を強化しなければなりません。ストレッチやエクササイズで足首や足の指の筋力を強化するのはもちろん、かかとから地面に着地する正しい歩き方を意識して歩き、筋力をつけるようにしましょう。
4. 【まとめ】偏平足を改善して体の不調を取り除こう
偏平足を放置すると、足だけではなく体全体の不調に繋がります。偏平足から股関節や背骨の歪みにまで発展すると、腰痛や肩こりといった辛い症状が次々と襲いかかります。偏平足のせいで膝に痛みが出るようになると、立ったり歩いたりするのも苦痛に感じるかもしれません。後々後悔しないためにも、まだ大丈夫と過信せず、早めに対策を講じて偏平足を改善するようにしましょう。
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